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[IV-18-04] 精子受精能におけるリラキシンの役割
【目的】リラキシン(RLN)は精子の先体および中片部に分布する約85 kDaの受容体RXFP1に結合し,機能発現する可能性を示唆した.本研究では,ブタ精子におけるRLNの受容体シグナリングを調べ,精子受精能への関与を究明した.【方法】ブタ精子は精巣上体尾部精子を用いた.まず,精子膜画分を調製し,RLNとの結合親和性を分子間相互作用解析装置で調べた.次に,精子をRLNで暴露処理し,細胞膜コレステロール,細胞内cAMP,タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)活性,タンパク質チロシンリン酸化,E-cadherin発現などを解析した.次いで,CTC法による精子の受精能獲得の評価を行った.【結果】RLNは精子膜分画に対してKd値1.65 nMで結合することがわかった.次に,精子へのRLN暴露はコレステロール放出を誘起し,細胞内cAMPの上昇とPTK活性の変動をもたらし,受精能獲得時にみられるp40(40 kDaのタンパク質)のチロシンリン酸化が検出された.CTC法による評価では,RLN暴露は受精能獲得を明らかに誘起していた.なお,E-cadherinの発現上昇はみられなかった.【結論】RLNは受容体に高い親和性で結合し,精子膜コレステロールの放出を促し,cAMPによる受容体シグナリングを介して,精子受精能獲得に関わるタンパク質のチロシンリン酸化を刺激し,精子の受精能に関与することが示唆された.