The 126th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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口頭発表

6. 管理・環境

管理・環境

Thu. Sep 19, 2019 9:30 AM - 11:30 AM 第IV会場 (4番講義室)

座長:竹田 謙一(信州大)、長谷川 輝明(千葉県畜産総合研究セ)、青山 真人 (宇大農)

11:20 AM - 11:30 AM

[IV-19-12] アメリカミズアブの幼虫による家庭系食品廃棄物の処理及び残渣の肥料的価値について

*川崎 稔弥1、川﨑 淨教1、松本 由樹1、矢野 公伸1 (1. 香川大農)

【背景】近年,家畜排泄物や食品廃棄物をアメリカミズアブ(以下,ミズアブ)に摂食させ,虫体を飼料源,処理残渣を肥料として利用する研究が報告されている.本研究では,残渣の化学的・生物学的特徴からミズアブによる処理が適切であるか調査し,さらに家畜糞堆肥と比較し肥料としての有用性を検討した.【方法】家庭系食品廃棄物を再現した廃棄物を幼虫に1g/1頭量で15日間処理させた.残渣は処理後に虫体を除去し残ったものとし,公定法に従い各試料の成分分析及び菌叢解析を行った.【結果・考察】残渣は廃棄物と比べ水分率及び全炭素率が低かった.全窒素率には有意差はみられなかったが,無機態窒素率,特にアンモニア態窒素率が高かった.さらに,処理前後で菌叢に量的・構成的な違いがみられ,独自の菌叢をもつと示唆された.これらのことから廃棄物中の有機物がミズアブ及び処理槽中の微生物の働きにより無機化されたと考えられた.また,廃棄物中にみられた大腸菌が残渣では確認されなかった.一方,家畜糞堆肥と比べると残渣は全炭素率が高く,無機態窒素率が低かった.特に,硝酸態窒素率はアンモニア態窒素率に比べ低かった.さらに,占有菌種も異なり多様性も低かった.以上のことから,ミズアブによる処理で廃棄物は二次利用しやすくなるが,堆肥化に比べると不十分な処理であるため,肥料利用する場合は,処理方法の見直しや二次処理が必要であると考えられた.