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[V-18-03] 肉用鶏と産卵鶏のミトコンドリア呼吸鎖複合体超複合体(SCs)形成量およびエネルギー代謝特性の違い
【目的】ミトコンドリアにおいてATPを産生する呼吸鎖複合体はランダムに局在すると考えられていたが,超複合体(SCs)を形成することが最近明らかになった.遺伝子改変技術を用いた研究より,SCsはATP産生効率の向上や活性酸素(ROS)の産生抑制をもたらすと考えられている.肉用鶏と産卵鶏は筋成長速度が異なり,その代謝の違いが広く研究されている.骨格筋代謝ではミトコンドリアが重要な役割を担っているが,両ニワトリにおけるSCsに関する情報は皆無である.本研究では,両ニワトリ間におけるSCs形成量ならびにATP産生時の呼吸速度,ROS産生量の違いを調べた.【方法】2週齢の肉用鶏(Ross)および産卵鶏(ジュリアライト)(いずれも雄)を供試し,同一の飼料を約1週間給与した.胸筋よりミトコンドリアを単離しSCs形成量,脂肪酸・ピルビン酸/リンゴ酸・コハク酸添加時の呼吸速度およびROS産生量をBN-PAGE,ポーラログラフ法,Amplex Redを用いて測定した.【結果】肉用鶏は産卵鶏よりも胸筋の増大量が高いことを確認し,肉用鶏はSCs形成量,脂肪酸およびピルビン酸を添加したときの呼吸速度,ならびにROS産生量が有意に低いことが分かった.以上より,肉用鶏ではSCs形成やそれによるATP産生ではなく,骨格筋分解をもたらすROS産生量が産卵鶏より低い結果,高い筋成長を有している可能性が示された.