日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理

2019年9月18日(水) 13:30 〜 15:20 第V会場 (6番講義室)

座長:豊後 貴嗣(広島大院生物圏)、野地 智法(東北大院農)、杉山 稔恵(新潟大農)

14:50 〜 15:00

[V-18-09] ヒツジの保定ストレスが血漿抗酸化活性に与える影響

*木村 ちはる1、沖津 和男1、鈴木 雄晃1、倉島 ちなみ2、板橋 葵2、小田 伸一2 (1. 岩手大院総合科学、2. 岩手大農)

【目的】家畜は,疾病に加えて,長時間の拘束や輸送による環境の変化などにより酸化ストレスを受けるため,体内の活性酸素の産生が増加してしまう.これらの活性酸素を消去する生体機構として,抗酸化物質および抗酸化酵素の存在が知られている.本研究では,ヒツジを供試し,保定負荷を与えることによる血漿抗酸化活性,血漿SOD活性及び血漿尿酸値の経時変化について検討した.【方法】供試動物として雌ヒツジ4頭を用いた.採血当日にあらかじめ経静脈カテーテルを装着した.午前10時を0分として,経時的に計9回採血を行った.加えて,0分の採血直後から30分間はヒツジを縄で保定した.測定項目は,血漿抗酸化活性,血漿SOD活性および血漿尿酸値とした.血漿抗酸化活性は,化学発光測定法,血漿SOD活性はSOD Assay Kit-WST,血漿尿酸値は尿酸C-テストワコーを用いて測定した.統計処理はSPSSを用い,一元配置分散分析と多重比較を行った.【結果】血漿抗酸化活性は保定に伴う変動はみられなかった.SOD活性は,保定中に上昇し,解放後低下する傾向を示した.血漿尿酸値は,0.4~0.8mg/dLの低い値であり,顕著な変動は認められなかった.ヒツジはウリカーゼ活性をもつため,尿酸をアラントインに代謝し,尿中に排泄する.そのため,血漿抗酸化活性の変動にはあまり関与していないと考えられた.