3:00 PM - 3:10 PM
[V-18-10] ヒツジへのアスコルビン酸投与による血漿抗酸化活性動態
【目的】酸素呼吸でエネルギーを得ている生物は,その代謝過程において活性酸素を有効利用しているが,過剰になると細胞自らを傷つけ,疾病や老化の原因となる.そのため生物には,過剰な活性酸素を速やかに消去する抗酸化システムが備わっており,活性酸素の生成と消去のバランスが重要である.本研究では,アスコルビン酸(AsA)を筋注投与し,投与後5日間の血漿抗酸化活性,白血球貪食活性の変動を調べた.【材料および方法】雌ヒツジ5頭を供試し,維持飼料を1日1回午前11時に給与した.午前10時に頸静脈より採血を行い,直ちにAsA注射液(100mg/ml,フソー)1mlを後肢筋に注射した.3,6時間後,翌2~5日目の午前10時に頸静脈より採血を行った.血液は貪食活性を測定した後,血漿をとりわけ,各測定まで凍結保存(-25℃)した.測定項目は,貪食活性,血漿抗酸化活性,血漿SOD活性および血漿尿酸濃度とした.【結果】血漿抗酸化活性は,投与による有意差は見られなかった.白血球貪食活性は投与前で37772±14033カウントから投与後6時間で67667±12636カウントに有意に増加したが(p<0.01),2日目以降は低い値を示した.血漿SOD活性は投与後3日目まで低い値を維持した.血漿尿酸濃度は,0.5mg/dl以下の低い値を示した.以上より,AsA投与の当日,白血球貪食活性が高い値を示すことが判明した.