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[V-18-18] 放牧と自給粗飼料で飼養するDM日本短角種における哺乳期の増体特性
【目的】ミオスタチン欠損(ダブルマッスル形質:DM)の日本短角種は穀物給与の条件下で通常の日本短角種と比較して,産肉性が1.5倍と著しく高いことが報告されている.北里大学獣医学部附属FSC八雲牧場は放牧と自給粗飼料のみで肉用牛を生産しており,DM日本短角種を自然哺乳と放牧および自給粗飼料のみで飼養している.本研究ではDM日本短角種の出生から3ヶ月齢までの増体および血液性状を解析し,哺乳初期の増体特性を明らかにすることを目的とした.【方法】DM日本短角種および同時期に出生した通常の日本短角種(雄産子各2頭,雌産子各2頭,計8頭)を試験牛とし,出生から自然哺乳と冬期はグラスまたはロールサイレージ,夏期は放牧草のみで飼養した.出生時から毎月,体重測定および採血を行い,体重値から日増体量を,血中総コレステロール,遊離脂肪酸,グルコース,トリグリセリドを測定した.【結果】自然哺乳と放牧および自給粗飼料で飼養されたDM日本短角種および通常の日本短角種の出生時から3ヶ月齢までの日増体量はそれぞれ,0.6±0.09および1.3±0.03kg/日と通常の日本短角種で高かった.血中成分では遊離脂肪酸のみ全期間においてDM日本短角種で高い傾向にあった.以上より,自然哺乳と放牧および自給粗飼料のみの飼養管理はDM日本短角種の増体に必要なエネルギー要求量を満たしていない可能性が示唆された.