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[V-18-20] 搾乳ロボット導入は何をもたらすのか?
わが国の酪農経営は2000年以降スマート畜産の推進に着手し,2010年以降はクラスター事業を援用した搾乳ロボットが積極的に導入されたことから,現在は国内で500台以上が稼働している.本報告では酪農家による機種毎の使用感と,導入後の飼養管理上の評価等を明らかにした.調査に当たってはJA釧路丹頂および浜中町管内の搾乳ロボット導入農家5戸を対象に,導入の背景や導入後の状況等に関するヒアリングを実施した.その結果,導入された搾乳ロボットは,レリー社製(以下,L)が7台,デラバル社製(以下,DL)が2台であった.Lを使用している3戸は,LはDLと比較してティートカップの装着速度が優れていることを指摘した.一方,DLを使用している農家はDLが有する独立洗浄ラインが乳質の改善に寄与する可能性を述べた.また,放牧を行っていない3農家では搾乳ロボット導入後に蹄病(PDD)が増加したと述べ,一方,放牧を実施しているD農家はPDDの発生が少なかった.さらに搾乳ロボットの導入によって創出された時間により,「家族と朝食のテーブルを囲む機会ができた」,「自給飼料作に傾注することができた」との評価が多かった.加えて繁殖管理ではロボット搭載の管理システムに依存するのではなく,目視による発情発見が不可欠であるとも回答していた.今後は,ロボット機種ごとの特性と収益性との関連についても言及していきたい.