The 126th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理

Thu. Sep 19, 2019 9:30 AM - 11:10 AM 第V会場 (6番講義室)

座長:本田 和久(神戸大院農)、奈良 英利(石巻専修大)、村井 篤嗣(名大院生命農)

10:10 AM - 10:20 AM

[V-19-05] マウスの系統間における筋幹細胞の機能的不均一性の検証

*鈴木 貴弘1、西 百合子1、有松 里央1、小林 謙1、西邑 隆徳1 (1. 北大院農)

【目的】マウスには様々な系統が作出されており,同種であるが成熟個体における骨格筋量や筋再生能力に差が生じることが報告されている.その原因として,筋幹細胞(衛星細胞)の挙動が系統間において不均一性を示す可能性を考えた.そこで,系統間での衛星細胞の筋分化および再生能力を比較し,それぞれの特性を捉えることを目的とした.【方法】ICR,C57BL/6(B6)およびBALB/c(C)の同齢成熟雄個体より衛星細胞をそれぞれ単離し,新生筋線維(筋管)の形成誘導過程における筋分化マーカーの発現パターンおよび筋管融合率を調べた.続いて,後肢に筋損傷を与え,再生過程における筋組織の形態と筋再生マーカーの発現様相を観察した.さらに,系統間の表現型の差異に関連する要因探索を,筋線維型および非筋系譜マーカーの発現パターンから検証した.【結果】全ての系統で筋管の形成が認められたが,B6,CおよびICRの順で筋分化マーカーの発現レベルおよび融合率が高かった.筋再生マーカーも全系統で発現したが,Cでは筋線維以外の形態を示した細胞の浸潤が認められた.なお,ICR由来の衛星細胞では脂肪への分化を促すPDGFRαが,Cで形成された筋管では速筋型マーカーの発現量が,それぞれ他の系統よりも高かった.以上より,系統間における衛星細胞の機能的不均一性が認められ,B6は筋肥大や再性能力に優れた衛星細胞を保有することが示唆された.