[P1-36] 他菌の発酵産物がルーメン細菌Selenomonas ruminantiumの運動性と増殖性に及ぼす影響
【目的】反芻家畜のルーメン内では繊維分解菌と非繊維分解菌が協調的に植物繊維を分解する。当研究室では繊維分解菌Fibrobacter succinogenes(Fs)、非繊維分解菌Selenomonas ruminantium(Sr)および新規細菌R-25(R25)の3菌群が協調関係を構築し、繊維分解に貢献することを明らかにしている。SrはFsとR25の主要発酵産物であるコハク酸と乳酸を代謝し、プロピオン酸へ変換することがわかっている。本研究ではコハク酸および乳酸存在下でのSrの運動性と増殖性を調査した。【方法】S. ruminantium S137株を供試菌株とし、繊維分解産物の一つであるキシロースを培養基質として用いた。異なる基質濃度とコハク酸の有無による計6区を設定し、軟寒天培地に培養液を滴下後12時間培養した際に形成されるコロニーサイズを指標に運動性を評価した。また、L-乳酸またはD-乳酸とコハク酸の有無による計4区を設定し、液体培地での濁度測定により増殖を経時的にモニタリングした。【結果】キシロース濃度の増加およびコハク酸の添加によりコロニーサイズは小さくなった。また、R25の主要発酵産物であるD-乳酸存在時にのみコハク酸の添加により増殖速度が低下した。以上よりSrはFsとR25との共存下において他菌の産生する発酵産物により運動性と増殖性が低下することが示唆された。