The 128th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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ポスター発表

3. 繁殖・生殖工学

3. Reproduction/Reproductive technology

[P3-11] 被災アカネズミの保存凍結精子を用いた受精能評価

〇Kazu Nihei1, Shun Tokita1, Kousuke Murata2, Tsugumi Iwasaki2, Hideaki Yamashiro1, Fumiaki Nakata3, Tomisato Miura4 (1.Niigata Univ., 2.Graduate school of Science and technology Niigata Univ, 3.Hokkaido Univ. of Science, 4.Hirosaki Univ.)

【目的】生殖巣は放射線高感受性組織の一つであるが、精子形成過程ならびに初期発生過
程におけるバイアスリスクにより、生殖・発生における放射線影響は不明な点が多い。従
って、個体より得られる生体試料の解析に加え、自然の環境に制御されない、生殖工学技
術を用いた評価も必要不可欠である。本研究では、2012年から福島原発旧警戒区域内で継
続して採取・凍結保存している被災アカネズミ精子の体外受精能を評価することを目的と
した。【材料及び方法】野生雄アカネズミは、福島県浪江町にてシャーマントラップを用
いて捕獲した。精子は、精巣上体から採取し、ストローに充填し、液体窒素にて凍結保存
した。野生雌アカネズミは新潟県角田山にて捕獲し、過排卵誘起処理にIASe(抗インヒビ
ン血清+eCG)を投与して採卵した。体外受精は、2細胞期までの胚の発生率を評価した
。【結果】被災アカネズミにおいて、凍結融解後の生存率が60%以上で精子を凍結保存す
ることができた。凍結融解後の被災アカネズミ精子を体外受精した場合、平均60%の割合
で2細胞期胚まで体外発生した。以上の結果より、被災アカネズミへの放射線影響、特に
精子の継時的な受精能は維持されていたことを明らかにした。