The 128th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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ポスター発表

3. 繁殖・生殖工学

3. Reproduction/Reproductive technology

[P3-14] 液状輸送中に変化するウシ精子内代謝物質の網羅的解析

〇Yousuke Naniwa Naniwa1, Masashi Kinukawa1, Kyoko Uchiyama1 (1.Livestock Improvement Association of Japan, Inc.)

【背景】凍結精液生産地に比べ種雄牛繋養地が遠隔にあり精液を輸送しなければならない場合、精子機能は輸送中に逓減してしまう。本研究では輸送中の精子運動性を保持する手法を開発する一端として、精液輸送過程に変化するウシ精子内代謝物質を探索することを目的とした。【材料および方法】ホルスタイン種種雄牛4頭から2射精分の精液を採取し、直ちにトリスクエン酸緩衝糖(TC)液を用いて2倍希釈した。18℃の水を満たした魔法瓶を用いて希釈精液を宅配便にて輸送した。輸送後の精子運動性は運動解析装置を用いて測定した。また、採取直後および輸送後に精子1000万をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、メタノールで精子内成分を抽出した後、限外ろ過によりタンパク質成分を除去した。キャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析法により抽出液中のイオン性成分を測定した。【結果および考察】4頭2射精の8サンプルから79種の物質が検出され、その内23種が輸送前後に全てのサンプルから検出された。さらに、その内、輸送前と比較して輸送後にグルタミン酸などのアミノ酸やコリンを含む9種の物質の相対面積値が有意に(P<0.05)低値を示した。また、リジンとロイシンの相対面積値は有意に(P<0.05)高値を示した。以上より、輸送中に減少する代謝物質を補う、または、増加する代謝物質を抑制する添加剤がウシ精子の保存性向上に有効な可能性が考えられた。