The 128th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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ポスター発表

3. 繁殖・生殖工学

3. Reproduction/Reproductive technology

[P3-20] KNDyニューロン復元によるゴナドトロピン放出ホルモン (GnRH) パルスと卵胞発育の回復

〇Yoshihisa Uenoyama1, Mayuko Nagae1, Saki Okamoto1, Hitomi Tsuchida1, Naoko Inoue1, Hiroko Tsukamura1 (1.Brad Sch Bioagr, Nagoya University)

家畜を含む哺乳類において、視床下部弓状核のキスペプチン/ニューロキニンB (NKB)/ダイノルフィンAを共発現するKNDyニューロンが卵胞発育を司るGnRHパルス発生機構であるとの説が有力であるが、実験的な証明には至っていない。本研究では、この仮説を証明するため、ゴナドトロピン分泌不全を示すキスペプチン遺伝子 (Kiss1) ノックアウト (KO) ラットの弓状核にKiss1を発現するウイルスベクターを投与し、NKB遺伝子(Tac3) 発現ニューロンにKiss1を強制発現させたKNDyニューロン復元ラットの作製を試み、生殖機能の回復を検討した。20-50%のTac3ニューロンにKiss1発現を認めたラットでは明瞭なパルス状黄体形成ホルモン(LH) 分泌が認められ、卵巣でのグラーフ卵胞を含む三次卵胞数やエストロジェン合成酵素 (アロマターゼ) の遺伝子発現は対照群と比べ有意に高かった。一方、弓状核の外側に多数のKiss1発現細胞を認めたものの、弓状核Tac3ニューロンの1%以下にKiss1を発現した個体では血漿LH濃度は検出限界値以下であり、卵巣のアロマターゼ遺伝子発現も低値であり、グラーフ卵胞は認められなかった。以上より、2割のKNDyニューロンの復元によりGnRHパルスと卵胞発育が回復することが明らかとなると共に、KNDyニューロンが卵胞発育を司るGnRHパルス発生機構本体であることが証明された。