The 128th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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ポスター発表

5. 畜産物利用

5. Animal products technology

[P5-23] 長野県で捕獲されたシカのロースの部位による理化学的特性の差異

〇Kyoko Nishida1, Naoto Ikawa1, Mahiro Koroki1, Masato Minami1, Shiro Takeda1, Wataru Mizunoya1 (1.Azabu Univ.)

【背景】近年シカによる農林業への被害が大きな問題となっている。捕獲されたシカの食肉への利用が推進されているが、肉質に関して不明な点が多い。そこで本研究では国内で捕獲された野生シカのロースの頭側、中央、尾側の3箇所で、どの程度理化学的特性に差があるのか明らかにすることを目指し、以下の検討を行った。
【方法】長野県内で捕獲された野生ニホンジカの、食用のロース部位(主として胸最長筋)を冷凍保存し、4℃の冷蔵庫内で22時間解凍させた。解凍したロースを頭側、中央、尾側から各5㎝で切り分け、色調とpHを測定後、肉片の加熱損失を測定し、加熱後の肉に関しても色調とpHを測定した。加熱後の肉の剪断力価をWarner-Bratzler剪断力価計で測定した。また、未加熱の肉片を一部使い遠心保水性、水分含量、再凍結後解凍時のドリップロスを測定した。
【結果および考察】シカのロース肉の頭側、中央、尾側の理化学的特性の多くは部位間で有意な差は見られなかった。従って、食用として流通しているロースであれば、調理や加工においてロース内の部位の区別の必要はないと考えられた。ただし、加熱損失と色調の明るさを示すL*値(未加熱)で頭側が他の部位より高値を示す傾向がみられた。肉の保水性はpHに強く影響を受ける事が知られているが、pHは3部位間で全く差がなかったため、この違いはpH以外の要因によるものと推測された。