The 128th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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ポスター発表

5. 畜産物利用

5. Animal products technology

[P5-31] カルノシンは死後硬直条件下におけるアクトミオシンのATP分解を促進する

〇Minami Okada1, Jun-ichi Wakamatsu1, Haruto Kumura1, Toru Hayakawa1 (1.Hokkaido Univ.)

【目的】家畜の骨格筋はと畜後に死後硬直を起こす。死後硬直の進行には骨格筋の生理学的環境変化に伴うミオシンのATP分解が関与している。これまで、骨格筋中に豊富に存在するジペプチドであるカルノシン(CAR)がミオシンのATPase活性を上昇させることが報告されているが、死後硬直が進行する際にCARがどのような影響を及ぼしているのかは不明である。そこで本研究では死後硬直時のCARの影響を明らかにするために、死後硬直条件でのCAR存在下におけるアクトミオシン(AM)のATP分解反応を検討した。【方法】AMは鶏の浅胸筋から常法により調製した。ATPase活性の測定は、死後の筋線維内におけるpHの低下およびCa2+濃度の上昇を反映させた複数の条件のもと、ATP添加後に生成された無機リン酸をFiske-Subbarow法により定量することで行った。また、AM懸濁液にATPを添加して超沈殿が形成される様子を観察するとともに、超沈殿形成に伴う濁度の変化を測定した。【結果】CARは酸性pH域かつ低Ca2+濃度においてAMのATPaseを活性化した。また、CAR存在下で超沈殿の形成や濁度の上昇が促進され、特に酸性pH域における作用が顕著であった。以上より、CARは死後の骨格筋においてpHが中性付近から酸性域に低下するまでの間、AMのATP分解を促進し、死後硬直の進行に影響を及ぼすことが示唆された。