[P5-33] 骨格筋細胞の由来の違いや分化誘導がカルノシン合成に及ぼす影響
【目的】カルノシン(Car) は豚や鶏の骨格筋に多く存在するジペプチドあるが、その組織局在性や存在量を規定する因子については不明な点が多い。そこで今回は、由来の異なる2種の骨格筋細胞を用いて、筋芽細胞から筋管細胞への分化に伴うカルノシン量の変動と、関連する遺伝子やタンパク質の発現量について調べた。【方法】C2C12およびL6は10%FBSを含むDMEM培地で80%コンフルエントまで培養後、Car合成酵素の遺伝子(CARNS1)を強制発現させた。また、筋管への分化には、2%ウマ血清を含むDMEMで6日間培養を行った。【結果】欠損型遺伝子を導入した筋芽細胞では共にCarの合成を認めず、野生型を導入した場合にはC2C12においてL6より5倍多いCarが検出された。筋芽のC2C12ではCarの基質のβアラニンがL6より10倍多く存在しており、qPCRの結果からβアラニンのトランスポーターであるTauTの発現量が多いことに起因すると考えられた。一方、C2C12では筋芽から筋管に分化させることで、TauT 発現量は変動しないものの、CARNS1発現量がmRNAとタンパク質で増加していた。以上の結果から、骨格筋細胞中のカルノシン量を規定するものとして、βアラニン量と CARNS1発現量の影響が大きいことが明らかとなった。