[P6-03] ウシの血中ビタミンA濃度の簡易分析システムの開発
和牛の肥育において、脂肪交雑等級の高い枝肉を生産するために血中ビタミンA量を制御する肥育方法が行われている。しかし、従来の血中ビタミンA分析手法では採取した血液に複数の前処理を行い、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定する必要があるため、専門的な技術や高価な装置が必要であり、肥育の現場で実際に血中ビタミンA濃度をモニタリングすることは困難である。そこで本研究では複数の前処理を必要としない簡便な分析手法と専用の小型蛍光測定器からなる肥育の現場で実施可能な簡便な分析システムを開発した。
開発した分析手法は血液と抽出溶媒であるノルマルヘキサンを混合し、ボルテックスミキサーで10分撹拌し、抽出相を蛍光測定するだけの簡便な分析手法である。小型蛍光測定器はシリコーン樹脂を光路に用いてノイズの原因となる外乱光を大幅に削減することで小型化を実現した。開発した簡易分析手法により、黒毛和種の去勢牛12頭の肥育期間中(15か月齢~27か月齢)の血中ビタミンA濃度をモニタリングしたところ、HPLCを用いた標準手法で測定した結果と高い相関が得られた(相関係数0.78)。一方で、肥育後期の24か月齢以降にはHPLCと比べて誤差の大きい数値が得られた。これは、ビタミンA以外の血中成分変化の影響やボルテックスミキサーの異常の可能性が考えられる。今後はこれらの影響を調査し、更なる精度の向上を目指す。
開発した分析手法は血液と抽出溶媒であるノルマルヘキサンを混合し、ボルテックスミキサーで10分撹拌し、抽出相を蛍光測定するだけの簡便な分析手法である。小型蛍光測定器はシリコーン樹脂を光路に用いてノイズの原因となる外乱光を大幅に削減することで小型化を実現した。開発した簡易分析手法により、黒毛和種の去勢牛12頭の肥育期間中(15か月齢~27か月齢)の血中ビタミンA濃度をモニタリングしたところ、HPLCを用いた標準手法で測定した結果と高い相関が得られた(相関係数0.78)。一方で、肥育後期の24か月齢以降にはHPLCと比べて誤差の大きい数値が得られた。これは、ビタミンA以外の血中成分変化の影響やボルテックスミキサーの異常の可能性が考えられる。今後はこれらの影響を調査し、更なる精度の向上を目指す。