The 128th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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ポスター発表

6. 管理・環境

6. Management/Environment

[P6-23] 乳牛における簡易型検査装置を用いた血乳の発生に関する現況調査

〇Kenji Nekomoto1, Yume yoshida1, Honoka Ohshiro1, Takashi Sugawara2, Noriyuki Shinomiya2, Tomohisa Tamura2 (1.Rakuno Gakuen University, 2.Tokachi-Foundation)

【目的】酪農現場では、乳房内出血による血乳が搾乳されることがある。一般的に血乳は前搾り時に発見できるため、生乳出荷事故につながることは少ないが、その場で廃棄されるため、原因や血液混入割合などの詳細が明らかではない。本研究では、とかち財団が開発した簡易型血乳検査装置の実用化を兼ねて、現場での現況調査を実施した。

【方法】調査対象は釧路地方の2酪農場において、2019年7~11月に前搾り時に血乳と判断された個体乳(「①初乳」4個体、「②乳房炎」「③乳房の打撲」が原因と推定される血乳が突発的に生じたそれぞれ1個体)とした。これらの血液濃度を同装置で推定した上で、体細胞数をブリード法により測定した。

【結果】分娩後3日目における「①初乳」中の推定血液濃度は0.0028±0.0027%で、目視(色沢)で確認できる限界濃度(約0.01%)より低い。このことから、初乳特有の色調は血液以外の物質によるものと推察された。「②乳房炎」が原因と推定される血乳の推定血液濃度は0.25~0.012%で、明らかなピンク色を呈し、出血前の体細胞数は2,660[千個/ml]と高い値であった。「③乳房の打撲」が原因と推定される血乳の体細胞数は51±39[千個/ml]と比較的低いことから、炎症性の可能性は低いと推察された。その後4日間の推定血液濃度は0.24~0.011%で、日にちの経過とともに低下した。