The 128th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

Best Presentation Award 5

Sun. Mar 28, 2021 9:00 AM - 10:30 AM ライブ配信

座長:木村 康二(岡山大学)、原山 洋(神戸大院農)、青山 真人(宇都宮大学農学部)、小泉 聖一(日大生物資源)

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パスコード:328426

9:00 AM - 9:15 AM

[VYS-01] 老齢黒毛和種における未分化型精原細胞の維持

〇Terumichi Kawahara1, Kentaro Tanemura1, Kensiro Hara1 (1.Tohoku Univ.)

老化による種雄牛の精子生産量の低下は食肉生産の安定性を脅かす問題である。高齢牛の精子をより長期的に生産できれば、牛生産システムの安定化が期待される。げっ歯類の研究から、高齢個体の精子幹細胞を若齢個体の精巣に移植することで、精子形成の持続時間を延長できることが示されている。同技術を牛に応用すれば、理論上は寿命を超えた精子産生が可能になる。しかし、高齢牛において精子幹細胞(未分化型精原細胞)が数や増殖能を保持しているかどうかは明らかになっていない。そこで本研究では、高齢牛精巣における未分化型精原細胞の数・増殖活性を調べた。若齢区として2歳齢、高齢区として10歳齢以上の精巣を用いた。両区の組織切片を作成し、免疫染色およびPAS-H染色を施した後、セルトリ細胞の数的変化、間質の形態的変化、分化した生殖細胞の数的変化、未分化型精原細胞の数と増殖活性の変化を解析した。若齢区に比べ高齢区でセルトリ細胞の減少、間質の線維化・面積拡大が生じ、それと同時に分化した生殖細胞の減少が示された。一方、未分化型精原細胞の数と増殖活性については、若齢区と高齢区で有意な差は認められなかった。以上の結果、高齢牛の精巣では、精子形成支持環境および分化した生殖細胞には大きな加齢影響が生じるにもかかわらず、未分化型精原細胞は維持されていることが示唆された。今後、高齢牛の未分化型精原細胞を用いた移植技術の開発が期待される。