[I-15-09] 夏季の進行に伴う泌乳牛のメタン産生量の推移
【目的】夏季暑熱環境はウシの飼料摂取量や消化率に影響し,メタン産生量の変動をもたらすと考えらえる.本報告では,夏季2か月間における泌乳牛のメタン産生量の推移を牛舎内でのスポット法によって測定し,メタン産生量に対する暑熱環境の影響について検討した.【方法】搾乳ロボットを有する牛舎内で泌乳牛13頭を用い,7月1日から8週間,2週間ごとに順に1期から4期として測定を行った.供試牛にはソルガムサイレージ,グラスサイレージ,配合飼料等からなる基礎混合飼料と搾乳ロボット用飼料を,乳生産に必要なTDN量を満たすように給与した.各期の最後5日間に,搾乳中の頭部周囲ガスのメタン:二酸化炭素濃度比を測定するスポット法によって,メタン産生量を推定した.【結果】牛舎内の平均気温は1期(25℃)から3期(28℃)にかけて上昇し,4期(26℃)で低下した.飼料摂取量は1期に比べて2期から4期で低値となった.1日の採食時間と反芻時間は3期で最も短くなった.乳生産量は1期と2期に比べ,3期と4期で低下した.指示物質法で求めた乾物消化率は3期で最低値となった.呼気中のメタン:二酸化炭素濃度比,1日あたりおよび乾物摂取量あたりのメタン産生量はいずれも2期で上昇した後,3期と4期で低下した.以上,スポット法を用いたon-farmでの測定において,泌乳牛のメタン産生量は夏季の進行に伴い増減することが示唆された.