[I-15-13] 乳牛における分娩直後のデノボ脂肪酸割合と乳量、疾病および代謝ホルモンとの関連性
【目的】最近、生乳検査で導入された乳中脂肪酸組成値を牛群管理へ活用するため、本研究では分娩直後のデノボ脂肪酸割合(DFP)と乳量、健康状態および代謝ホルモンとの関連性について評価することを目的とした。【方法】ホルスタイン種乳牛65頭(初産牛25頭、経産牛40頭)を供試し、分娩3週前から分娩12週間後まで経日的に採血し、血中成分を測定した。乳汁は分娩後1週目から血液と同日に採取され、DFPをFTIRで測定した。分娩後1週目のDFPを第1および3四分位点で分類し、上位をHD(n=16)、中間をMD(n=33)、下位をLD(n=16)とした。【結果】分娩後30日以内の疾病発生割合は、HDで50%、MDで46%およびLDで56%であった。難産スコアが3以上の割合は、HDで0%、MDで15%およびLDで19%であり難産であるとDFPが低いことが示唆された。乳量はMDとLDで同等の推移を示しHDと比べて多かった。血中NEFA濃度は分娩後1から8週目でLD、MD、HDの順に高く推移した。LDの血中グルコース濃度はMDとHDと比べ分娩後1から4週目にかけて低く、HDの血中GLP-1濃度はMDよりも高値を示した。LDの血中GLP-2濃度は分娩後1週目で低くその後増加したのに対し、MDとHDの推移は一定であった。以上より、分娩後1週目のDFPはその後の乳牛の健康状態や乳生産を反映する可能性が示された。