The 129th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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口頭発表

1. Nutrition・Feed science

栄養・飼料1

Wed. Sep 15, 2021 8:40 AM - 12:00 PM 栄養・飼料 (オンライン)

Chairperson:Masahiro Shibata, Fumiaki Itoh, Kentarou Ikuta, Yuzo Kurokawa, Rika Fukumori

[I-15-17] 黒毛和種去勢肥育牛におけるコバルト欠乏

*Ami Tsukitani1, Shozo Tomonaga1, Masayuki Funaba1, Tohru Matsui1 (1. Kyoto Univ.)

【目的】ウシではコバルト(Co)欠乏時にはルーメン微生物によるビタミンB12(B12)合成が減少し、二次性B12欠乏が生じる。その結果、プロピオン酸代謝障害によって血中メチルマロン酸(MA)濃度が上昇するとともに採食量が減少する。本試験では肥育牛へのCo補給を試みた。また、公的機関で用いられている肥育牛用飼料中Co含量を調査した。 【方法】約23か月齢黒毛和種去勢肥育牛7頭に硫酸コバルト製剤を3か月間補給した。補給1か月前から試験終了時まで飼料摂取量と体重、血清中B12濃度、血漿中MA濃度を測定した(試験1)。 15公的機関の粗飼料と配合飼料中Co含量を測定し、摂取量(または給与量)から21種の給与飼料中Co含量を算出した(試験2)。 【結果と考察】日本飼養標準肉用牛(2008)におけるCo要求量は0.1 mg/kgである。補給前飼料(約0.07 mg Co/kg)ではCoが不足しており、Co補給飼料(約0.25 mg Co/kg)ではCo不足は解消した。それに伴い、血漿中MA濃度は低下し、血清中B12濃度は上昇した。また、配合飼料摂取量は増加し、増体重も改善した。 調査した給与飼料中28%が0.1 mg Co/kgを下回っていた。国内では自給粗飼料のみの給与によってCo欠乏が生じたことが報告されているが、本試験の結果は濃厚飼料を多給されている肥育牛におけるCo欠乏も稀ではないことを示唆している。