[I-15-21] 酒粕給与が泌乳ヤギの乳生産と乳脂肪酸組成に及ぼす影響
【目的】ヤギ乳は牛乳に比べて中鎖脂肪酸を多く含むなど栄養成分に特色がある. 本報告では, ヤギ乳生産に対する酒粕の飼料利用に着目し, 舎飼い飼育における濃厚飼料の一部を酒粕に代替して, ヤギの乳生産量と乳脂肪酸組成への影響について検討した.【方法】分娩後4~5か月のザーネン種経産ヤギ24頭を7月(泌乳中期)から11月(泌乳後期)にかけて供試した. 粉砕玄米と大豆粕等からなる濃厚飼料(乾物中37~25%)と牧草サイレージを給与する対照区と, 対照区の濃厚飼料の一部(乾物中8~4%)を酒粕に代替する酒粕区を設けた. NRC飼養標準に基づいて, 可消化養分総量と粗タンパク質(CP)量が乳生産に必要な量を満たすように両区の飼料組成と給与量を設定した (乾物中CP:16~12%).7月, 9月および11月において乳量, 乳成分組成, 血漿生化学成分濃度を測定した.【結果】乳量は酒粕区が対照区よりも少ない傾向を示した. 乳タンパク率には飼料区間での差はなかったが, 乳タンパク質生産量は酒粕区が少ない傾向を示した. 乳脂率と乳糖率には飼料区間で差はなかった. 乳脂肪酸組成では, 対照区に比べ酒粕区ではC8:0とC10:0が低く, C16:0は高い傾向を示した. 血漿尿素態窒素濃度は酒粕区で対照区に比べて低値となった. 以上より, 乾物中8%程度の酒粕給与は, ヤギの乳脂肪酸組成に影響する可能性が示唆された.