[II-15-08] ホルスタイン種集団を用いたSingle-Step SNP-BLUP法の収束性の検証
【目的】Single-Step法によるゲノミック評価手法の一つであるSingle-Step SNP-BLUP法（ssSNP-BLUP）は，前処理付き共役勾配（PCG）法の収束性が悪いことが課題である．そこで，PCG法に用いる前処理行列の違いによるssSNP-BLUPの収束性の検証を行った．【方法】ホルスタイン種の2021-2月評価データ（SNP情報を持つ個体数＝約12万頭）を用い，決定得点（単形質反復モデル），繁殖形質（3形質アニマルモデル）および乳量（多産次変量回帰検定日モデル）を分析形質とした．前処理行列は，（ブロック）対角行列（(B)DP）およびSNP効果に関連するSNP関係行列（SNPX）を使用し，Vandenplasら（2019）のsecond-level対角前処理行列（S）の効果も検証した（収束基準は10-14未満）．また，いずれの形質も血縁不明個体に対してQP変換による遺伝グループを考慮した．【結果】全形質においてDPのみで反復回数が最も多く，決定得点で1,781回，繁殖形質と乳量では1万回を超えても収束しなかった．反復回数が最も少ない前処理行列は，決定得点においてBDP+SNPXの336回，繁殖形質および乳量ではBDP+SNPX+Sの2,941回と2,185回であった．したがって，前処理行列の設定によりssSNP-BLUPの収束性を大幅に改善することが可能であった．