[II-15-09] ホルスタイン種における歩様のゲノミック評価値の精度検証のためのシミュレーション分析
【目的】歩様は繋ぎ飼いが大半の日本の飼養環境ではデータ収集が難しく、ゲノミック（G）評価値の精度検証のための十分な娘牛数が確保できていない。そこで本分析は肢蹄関連形質から歩様と遺伝率の近い形質を選択し、データ数を歩様と合わせた仮想の歩様データを作成し、G評価値の精度検証のためのシミュレーションを行った。【方法】2020年8月評価で使用した肢蹄関連形質（後肢側望、蹄の角度、肢蹄、後肢後望、歩様）からTHRGIBBS1F90により5形質での遺伝的パラメータの推定を行った。遺伝率は各々0.16、0.07、0.09、0.11、0.06であった。ここで肢蹄は指示形質とし仮想データとして使用せず、歩様と遺伝率の近い蹄の角度と後肢後望を選択した。歩様とデータ数を合わせた蹄の角度 (仮想1)、後肢後望(仮想2）とそれぞれ肢蹄との2形質の4パターンを想定し、マルチステップ法によりG評価値（DGV）を計算した。最後にPIとDGVの実現信頼度の比較および回帰分析を行った。実現信頼度を推定する際に仮想1は蹄の角度、仮想2は後肢後望のフルデータを使用した。【結果】DGVの実現信頼度は0.21~0.27でPIからの増加量は+0.15~+0.21であった。回帰分析の結果、傾きは単形質ではどちらも0.92で、2形質では仮想1は0.83、仮想2は0.86であったため、2形質ではDGVが過大推定されることが示唆された。