育種・遺伝1

[II-15-19] 黒毛和種の枝肉重量に関与する主働遺伝子の遺伝的効果

*Hiroyuki Hirooka¹, keiichi Ionue², Motohide Nishio³, Masayuki Takeda², Yoshinobu Inoue⁴ (1. Kyoto Univ., 2. National Livestock breeding Center, 3. NARO Institute of Livestock and Grassland Science, 4. Tottori Prefectural Livestock Research Center )

【目的】黒毛和種の枝肉重量に対して効果の大きい遺伝子座位（CW-1,-2,-3）が報告されている。本研究では効果の大きいSNPマーカ－の特定とその効果について育種学的視点から検討した。【方法】鳥取県および家畜改良センターで肥育された黒毛和種肥育牛1,908頭の枝肉格付成績、肥育牛とその両親のSNP情報および血統情報を分析に供試した。枝肉重量についてベイズ法を用いて予備的に行ったGWASの結果より、第6、8、14染色体上に効果の大きなSNPマーカーが特定できた(M1、M2、M3とする)。次に、その３つのマーカーについて父と母と肥育牛のマーカー型から、父と母から肥育牛への遺伝子伝達様式を予測し、血統情報から得られた血統育種価に対する相加的遺伝子効果、優性効果、ゲノムインプリント効果を推定した。さらに母数効果としてこれらのマーカーを考慮することによる分散成分への影響を調べた。【結果】相加的遺伝子効果はすべて有意で、その効果はM1、M2、M3でそれぞれ17.5kg、5.8kg、16.0kgで、特にM1とM3で大きかった。また、これらのマーカーには優性効果が認められず、M1とM1に3.1kgと2.6kgの有意なゲノムインプリント効果が認められた。また、遺伝的パラメータについては、M1を母数効果として考慮することで誤差分散が大きく減少し、またM3を母数効果として考慮すると遺伝分散が減少した。