[II-15-20] 黒毛和種現場後代検定調査牛集団における全ゲノムリシーケンスデータを用いたオレイン酸含有率に関わる多型の探索
【目的】全ゲノムリシーケンスデータを基に網羅的多型探索を行い、ウシ体脂肪のオレイン酸含有率（C18:1）に対する候補多型の抽出を試みた。【方法】平成14～28年の現場後代検定合同調査会に出品された黒毛和種調査牛383頭より、育種価、年度、性、出品県、出荷月齢を考慮し補正したC18:1の上位下位各4頭に対して全ゲノムリシーケンス解析を実施した。それら8頭の塩基配列の比較により全多型を検出し、C18:1に影響を与える可能性の高い候補多型を絞り込んだ。さらに残りの375頭に対して候補多型の遺伝子型判定を行いC18:1との関連を調査した。【結果】全ゲノムにおいて各個体平均約860万多型が検出された。これらについて上位群下位群間の遺伝子型を比較し、そのアリルが完全に分離している場合を8違いとして、6違いまでの27,179多型を抽出した。さらに、多型のアノテーションおよび遺伝子の機能を考慮した結果、DSEL遺伝子c.733 T>A（S245T）およびSLCO1A2遺伝子c.1303 A>G（N435D）の2つのアミノ酸置換が責任多型の候補として挙げられた。また関連解析の結果、SLCO1A2多型はC18:1との関連が認められなかったものの（p＝0.659）、DSEL多型は関連の傾向を示した（p＝0.070）。今後、DSEL多型について、候補としての更なる検証を進めていく予定である。