育種・遺伝2

[II-15-23] パターン認識受容体遺伝子多型と豚の産肉形質の関連

*Kensuke Hirose¹, Yoshihoro Muneta², Tetsuya Ito¹, Mai Kamikawa¹, Senga Touma¹, Ryouichi Furukawa¹, Satoshi Nikaido⁴, Toshimi Matsumoto³, Hirohide Uenishi³ (1. ZENNOH Central Institute, 2. National Agriculture and Food Research Organization, 3. ZENNOH Livstock co.ltd., 4. National Agriculture and Food Research Organization)

<目的>パターン認識受容体は自然免疫系における病原体認識で重要な役割を担っており、遺伝子型多型により機能差が存在することが報告されている。本研究ではパターン認識受容体遺伝子多型の育種マーカーとしての利用性について検証するために産肉形質に及ぼす影響を調査した。
<方法>2004～2019年に全農飼料畜産中央研究所および全農畜産サービス(株)で飼育されたランドレース種、大ヨークシャー種、デュロック種の産肉成績・血統情報を用いた。パターン認識受容体遺伝子(NOD1、NOD2、TLR5、NLRP3)上のSNP多型5種類についてPCR-ASP法もしくはダイレクトシークエンス法によって各品種500頭の遺伝子型判定を行い、一般線形混合モデルを用いた産肉形質における遺伝子型多型の有意性検定を行った。
<結果>TLR5およびNLRP3と産肉形質間に有意な関連はなかった。大ヨークシャー種の1日平均増体重でNOD1の亢進型アリルに正の優性効果(+19g/日)、ランドレース種のロース面積でNOD2の亢進型アリルに正の相加効果(+0.4cm²)があったものの、亢進型の増加による産肉成績への著しい影響はないと推察された。以上の結果からパターン認識受容体遺伝子型多型はブタの抗病性育種マーカーとして活用可能であると考えられた。本研究はJRA畜産振興事業の支援にて実施した。