[II-15-24] NOD2遺伝型が豚のと畜時の肺及び腸管病変に与える影響
【背景】パターン認識受容体(PRR)は感染初期の病原体認識における重要な分子であり、豚では細胞内PRRであるNOD2遺伝子中に病原体認識に影響を与えることが知られている多型(2197A/C)が存在する。本研究ではこれが抗病性育種に有用なマーカーとなる可能性を評価するため、と畜時の肺病変や腸管廃棄との関係を調査した。【方法】養豚農家3戸由来の三元交雑豚995頭を供試豚とし、と畜時に廃棄腸管長と肺の病変面積の割合を計測した。各個体の組織片から抽出したゲノムDNAを用い、PCRシーケンシングによりNOD2の遺伝型を解析した。【結果】通常型(2197AA)で腸管廃棄があった個体は587頭中105頭であったが、ヘテロ型(2197AC)では385頭中50頭と有意に減少していた(P<0.05)。機能亢進型(2197CC)(12頭)では腸管廃棄は認めなかった。肺病変面積の割合の平均値についても、通常型と比較して機能亢進型では有意に低下した(5.6→2.7%:P<0.05)。ヘテロ型での平均値は4.2%であった。【考察】肺・腸での病変形成の主原因である病原体は異なると想定されるが、NOD2の機能亢進型アリルが発生率や重症度の低下と関連していることが観察されたため、NOD2多型が抗病性育種マーカーとして利用できる可能性が示された。【謝辞】本研究はJRA畜産振興事業の支援により実施した。