日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

2. 遺伝・育種

育種・遺伝2

2021年9月15日(水) 12:40 〜 14:40 育種・遺伝 (オンライン)

座長:岡村 俊宏(農研機構畜産部門)、増田 豊(酪農大農食環境)、谷口 雅章(農研機構畜産研)

[II-15-29] 2018年に中国より導入されたトキ個体に特異的なSNPアリルの検出

*谷口 幸雄1、陳 泓宇1、横井 伯英1、山田 宜永2、金子 良則3、祝前 博明4 (1. 京大院農、2. 新潟大院自然科学、3. 佐渡トキ保護セ、4. 新潟大佐渡自然セ)

【目的】日本トキ集団は、1999-2007年に中国から供与された5羽(A-E)を始祖個体として形成されてきたが、2018年10月新たに2羽(FとG)が導入された。日本トキ集団の遺伝的多様性拡大への新規個体の寄与を検討するために、FとGのみが持つ特異的SNPアリルの検出を試みた。【方法】FとGのゲノムDNAを精製し、既報(Taniguchi et al., PLoS ONE, 2013, 8(8):e72781)に従いRRL/NGS法を実施した。得られたNGS配列データを前回作製のコンセンサス配列にマッピングし、従来の始祖A-E のデータと統合した後フィルタリングを実施し、SNP候補を検出した。さらに、FとGに特異的なSNPアリルを選択し、これらをトキゲノムにマッピングした。【結果】FとGそれぞれ約16GbのNGS配列データを取得し、フィルタリングの結果、始祖7個体間で15,647個のSNP候補が得られた。FとGは従来の始祖A-Eが持つ特異的アリルの多くを受け継いでおり、さらに、これら2個体に特異的SNPアリルもそれぞれ203個と485個検出された。これらのSNPは、それぞれ31個と70個のScaffoldにマッピングされた。マッピングされなかったSNPは3個と20個であった。これらの結果は、新規個体に特有のゲノム領域が、比較的少数のハプロタイプブロックとしてゲノム中に散在していることを示唆した。