[II-15-30] 集団ゲノミクスを用いたヒナイドリの産卵率に関わる遺伝子群の探索
ニワトリの産卵率は繁殖効率に直結するため、卵用鶏・肉用鶏の双方にとって重要である。しかしながら、どのような遺伝子群が産卵率の調節に関わるのかはほとんど分かっていない。本研究では、全ゲノム比較を行うことで、産卵率に関わる候補遺伝子群を同定することを目的とした。ヒナイドリの雌671個体の産卵率の記録から、高産卵率群(n = 8; 平均65.7%)および低産卵率群(n = 8; 平均25.8%)を選定し、血液よりDNAを抽出した。次世代シークエンサーによって個体別の全ゲノムシークエンス情報を取得後、GATK等のソフトウェアを用いて、参照配列(GRCg6a)にマッピングしSNPsを同定した。73,918の20-KB windowを対象に遺伝的分化の指標であるFstを用いて、両集団が大きく異なるゲノム変異を有する領域を探索した。その結果、標準化したFstが極めて高い87のゲノム領域(Z-Fst > 4)を第1-9、11-19、22、23、26、27、30および31染色体上に同定できた。候補領域サイズの範囲は20-KBから4.3-MBで、平均229-KB、標準偏差584-KB、中央値40-KBと、高解像度な結果であった。今後、様々な集団を用いて、ニワトリの産卵率に関する遺伝的基盤を解明したい。