[III-15-01] 体温低下が黒毛和種の分娩発来に及ぼす影響
【目的】妊娠牛は前日の体温よりも低下すると24時間以内に多くの牛で分娩が発来することが知られている。本研究では、分娩予定の黒毛和種の体温を1日2回測定し、体温低下と分娩発来の関係ついて検討した。【方法】供試牛は酪農学園肉牛農場で自然分娩した黒毛和種20頭である。供試牛は分娩予定日2週前から朝(8時)・夕(18時)1日2回体温を測定した。分娩時間によって、日中分娩(8時~18時、日中)と夜間分娩(18時~翌8時、夜間)に区分し、体温低下と分娩発来との関係を調べた。生時体重は生後30分以内に測定した。【結果】分娩は日中7頭(35%)および夜間13頭(65%)であった。分娩36~12時間前に16頭(80%、日中7頭、夜間9頭)が前日より体温が平均0.5℃低下した。一方、同時間帯に4頭(20%、夜間4頭)において前日より平均0.3℃体温が上昇した。前日の体温と比較した場合、分娩前36~12時間の体温は、分娩前12時間~分娩(P<0.05)または分娩前36時間以前(P<0.01)より有意に低かった。体温低下と生時体重の関係はなかった。以上のことから黒毛和種では、前日より体温が約0.5℃低下すると36~24時間後に分娩が発来する可能性が高いことが示された。さらに、12時間間隔で1日2回の体温測定をすることで、分娩前の体温低下を高率に把握でき、分娩発来を予測できるこが示された。