[IIYS-07] FSHが誘導するコルチゾール代謝亢進による卵胞選抜メカニズムの解明
[目的]FSHは顆粒層細胞(GC)に作用しE2産生と卵胞発育を誘導する。卵胞表面の血管の有無から優勢卵胞(VF)と退行卵胞(NVF)分類しステロイド組成を調べた結果,VFとNVFでP4産生遺伝子が発現していたが,P4はVFでのみ認めた。P4下流にはE2産生系とコルチゾール(Co)産生系がある。本研究ではVFとNVFのE2とCo産生系の発現を調べ,卵胞選抜機構を調べた。[方法]VF,NVFのE2産生酵素とCo産生・代謝酵素の発現を調べた。またVF,NVFのCo産生・代謝酵素タンパク質発現・局在,Co,非活性型Co量,Caspase-3活性,TUNEL陽性細胞を調べた。Co区,Co+FSH区でGCを培養し,Co産生・代謝酵素の発現を調べた。さらにCo代謝阻害剤を添加し,TUNEL陽性細胞を検出した。[結果]VFではE2産生酵素群,Co代謝酵素の発現と非活性型Co量が増加した。NVFではCo産生酵素が高発現し,高Co濃度,高Caspase-3活性でTUNEL陽性細胞が検出された。Co区とCo+FSH区のCo産生酵素の発現は高値であったが,Co+FSH区でCo代謝酵素の発現が上昇した。Co区ではTUNEL陽性細胞が検出されたが,Co+FSH区では検出されず,Co代謝阻害剤により再び検出された。以上から,FSHによるCo代謝能の増強は卵胞選抜に重要であることが明らかになった。