[IV-15-06] 日本短角種の大腿二頭筋における脂肪滴含有筋線維と筋線維型構成割合の推移
【目的】大腿二頭筋は運動時に収縮刺激が増加する中遠位部と姿勢保持など常時収縮刺激が起こる近位部に大別される。我々はこれまで放牧飼養で中遠位部および近位部で脂肪滴含有筋線維(筋線維内に小型の脂肪滴が染色される筋線維)の構成割合および短径が増加すること、その結果、放牧飼養が大腿二頭筋全体の産肉性を高めることを報告した。しかしながら、出生後から肥育後期に至るまでの脂肪滴含有筋線維と筋線維型構成の変動過程は明らかになっていない。本研究では大腿二頭筋における脂肪滴含有筋線維と筋線維型構成割合の推移を解析した。 【方法】日本短角種(0、6、8、18、23ヶ月齢)の大腿二頭筋近位部および中遠位部を用いて、酵素化学的および免疫組織化学的手法によりⅠ、ⅠD、ⅡA、ⅡB型に分類し、筋線維型構成割合を算出した。また、oil-red O染色により、脂肪滴含有筋線維の割合を算出した。 【結果】0ヶ月齢では両部位ともに主にⅠおよびⅡA型で構成されており、脂肪滴含有筋線維は確認されなかった。両部位でのⅠD型および脂肪滴含有筋線維は6ヶ月齢から発現し、近位部において、脂肪滴含有筋線維は6から18ヶ月齢で有意に増加した。以降、脂肪滴含有筋線維の発現割合は近位部で高く、ⅠD型と同様な推移であった。以上より、脂肪滴含有筋線維は6ヶ月齢から明確に発現し、部位による筋線維型構成割合の違いは育成期で生じることが明らかとなった。