[IV-15-20] 5-アミノレブリン酸およびウルソデオキシコール酸の乾乳牛への給与が48時間絶食後の肝機能に及ぼす影響
【目的】負のエネルギーバランスに起因する乳牛の肝機能低下に小胞体ストレスが関与している。演者らは乾乳牛の48時間絶食においても肝臓で小胞体ストレスが亢進しており、細胞実験において5-アミノレブリン酸(以下、5-ALA)の小胞体ストレス緩和効果を見出している。本研究では5-ALAおよび小胞体ストレスの緩和効果が期待されるウルソデオキシコール酸(以下、ウルソ)の給与が、48時間絶食の肝機能に及ぼす影響を検討した。【方法】ホルスタイン乾乳牛4頭を用いて対照区、5-ALA区、ウルソ区、5-ALA+ウルソ区を設置し(4x4ラテン方格法)、絶食10日前から各飼料添加剤を給与した。絶食直前および絶食48時間後に採血し、バイオプシーにより肝臓組織を採取した。【結果】絶食前に比べて絶食後の血中NEFAおよびBHBA濃度は、全ての区において有意に上昇し、区間による違いは認められなかった。肝臓TG含量は対照区で絶食により有意に上昇したが、飼料添加剤を給与した他の3区では絶食前後で変化は認められなかった。対照区と比較して、他の3区では肝臓のβ酸化や酸化ストレス応答に関連する遺伝子発現が有意に亢進していた一方、小胞体ストレス応答に関連する遺伝子発現は有意に抑制されていた。以上の結果より、5-ALAやウルソ給与は、泌乳期の負のエネルギーバランスに起因する肝機能低下に対しても予防効果を有することが期待される。