The 129th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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メインシンポジウム

「畜産学のレジリエンスと進化」
Resilience and Evolution of Animal Science (REAS)

Tue. Sep 14, 2021 2:30 PM - 6:00 PM メインシンポジウム (オンライン)

Chairperson:Hiroshi Yoneyama, Haruki Kitazawa, Michiru FUKASAWA, Hara Kenshiro, Kentaro Kato, Sanggun Roh

5:00 PM - 5:20 PM

[MS-06] 【講演4】
環境が求める乳牛飼養研究のこれから

*Takumi Shinkai1 (1. Institute of Livestock and Grassland Science, NARO)

地球温暖化が問題になる中、温室効果ガスの排出削減への関心が世界的に高まっている。温室効果ガス削減に対する関心は、エネルギー分野での脱化石燃料に留まらず、先進国を中心として、食事のあり方(畜産物の摂取をいかに減らすか)を議論するまでに波及している。一方で、温室効果ガス削減に取り組んで生産された畜産物は、美味しさや見た目といった官能評価の対象とは異なる、新しい商品価値、新しい付加価値を持つ可能性を秘めている。
 反芻家畜のあい気に含まれる温室効果ガスのメタンは、第一胃内に生息するアーキア(古細菌)によって生産されるが、現時点では第一胃内発酵を損なわずにアーキアのみの活性を大幅に抑制することが難しい。温室効果ガスの大幅な低減を目指すには、畜産経営全体から排出される温室効果ガスの削減が欠かせない。そのためには、微生物、ゲノム、創薬、家畜育種、家畜飼養、排泄物管理、土壌管理、畜舎施設設計などに関わる研究者が横断的に関わっていく必要がある。
 本シンポジウムでは、反芻家畜由来のメタン低減を考えるにあたり、削減アプローチについて、長期的・短期的な取り組みを概説するとともに、これまでの取り組みを交えて、今後の研究展開について紹介する。

【略歴】
東北大学農学部卒業。北海道大学大学院農学研究科博士課程修了(農学博士)。米国イリノイ大学動物科学科博士研究員、農研機構任期付研究員、研究員を経て2013年より現職。専門は消化管内微生物学、微生物生態学。乳牛の飼料効率の改善、および周産期におけるルーメン発酵の安定的移行を目的とした研究に取り組んでおり、その一環として飼料エネルギーの損失となるメタン産生の低減に向けた研究に力を入れている。