日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用1

2021年9月15日(水) 08:50 〜 12:00 畜産物利用 (オンライン)

座長:水野谷 航(麻布大獣)、有原 圭三(北里大獣医)、小宮 佑介(北里大獣医)、下里 剛士(信州大)、荒川 健佑(岡山大院環境生命)

[V-15-01] 牛肉のイノシン酸等核酸関連物質、筋線維型割合、官能試験に及ぼす品種の影響と形質間の相関

*阿部 朋樹1、飯田 文子2、盧 尚建1、鈴木 啓一1 (1. 東北大院農、2. 日本女子大家政)

【目的】牛肉の美味しさのメカニズムを明らかにする上で、核酸関連物質、筋線維型が官能試験に及ぼす影響の解析は重要である。本研究では黒毛和種、短角種、褐毛和種、ホルスタイン種、交雑種、海外種(メキシコ産)の牛肉を用い、核酸関連物質、筋線維型割合と官能試験に及ぼす品種の影響を検討した。更にそれらの形質間の関連を検討した。【方法】リブロースサンプル99頭分(黒毛和種57頭、短角種5頭、褐毛和種7頭、ホルスタイン種9頭、交雑種13頭、海外種8頭)を用い、官能試験、核酸関連物質、筋線維型割合の分析を行った。品種、性を要因とした分散分析を行い有意差を検討した。形質間の単相関係数、品種と性の効果を考慮した偏相関係数を算出した。【結果】品種は官能試験、核酸関連物質、筋線維型割合全てに有意な影響を及ぼした。形質間の相関では、Ⅰ型筋線維割合がIMP、総核酸関連物質と有意な負の相関(r=-0.291、-0.309)を示し、官能試験の物理特性、香り、味と有意な正の相関(r=0.457、0.447、0.390)を示した。総核酸関連物質と物理特性、香りの偏相関係数は有意な負の値(r=-0.270、-0.281)、Ⅰ型筋線維割合と味の偏相関係数は有意な正の値(r=0.275)を示した。以上より、品種により筋線維型割合が異なり、筋線維型割合が核酸関連物質や肉の物理特性、香り、味に影響を及ぼすことが示唆された。