日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

6. 管理・環境、畜産経営

管理・環境、畜産経営

2021年9月15日(水) 09:00 〜 11:30 管理・環境、畜産経営、動物福祉 (オンライン)

座長:猫本 健司(酪農大農食環境)、多田 慎吾(農研機構)、椎葉 湧一朗(信州大学)、阪谷 美樹(農研機構)

[VI-15-09] カラスの警戒声はウマのストレスとなりうるか?

*塚原 直樹1,2、永田 健1、濵野 廉3、田村 夏穂子4、山中 春香4、小澤 壯行3、青山 真人4 (1. (株)CrowLab、2. 宇大バイオ、3. 日獣生科大応生、4. 宇大農)

カラスは厩舎に侵入し、餌の盗食やウマを突く他、伝染病の伝播などを引き起こすことがある。それらに対し、(株)CrowLab(栃木県宇都宮市)では、カラスの警戒声を再生することで、厩舎へのカラスの侵入を防ぐ技術を開発し、実用化を目指している。しかしながら、カラスの警戒声がウマにストレスを与える可能性がある。そこで本研究では、厩舎内で再生するカラスの警戒声がウマに及ぼす影響について調べた。供試動物には宇都宮大学馬術部で飼養管理しているサラブレッド2頭を使用した。カラスの警戒声は(株)CrowLabで作製した2種類の音声を用いた。それぞれの音声は2020年10月8〜14日と同年10月21〜28日の2回に分けて毎日14:00~17:00に3時間再生した。また、10月2、8、11、14、21、25、28日、11月4日に、ビデオカメラによる行動の記録と心拍数の測定および唾液中のコルチゾル濃度の測定を行った。その結果、音声を初めて再生した後の1〜2分間は、顔の向きを変える回数が増えるなど、落ち着かない様子が観察され、心拍数の増加がみられたが、その後は行動や心拍数が変化することはなかった。また、唾液中コルチゾル濃度の増減はほとんど認められなかった。以上より、カラスの警戒声はウマのストレスにはならないことが示された。