育種・遺伝1

[II-16-04] Single-Step SNP-BLUP法にリファレンス集団を考慮する方法

*Takefumi Osawa¹, Toshimi Baba², Yutaka Masuda³, Takayoshi Kawahara², Yusaku Gotoh² (1. National Livestock Breeding Center, 2. Holstein Cattle Association of Japan, Hokkaido Branch, 3. Rakuno Gakuen University)

【目的】ゲノミック評価手法の一種であるマルチステップ法は，SNP効果を推定する際に信頼度の高い個体をリファレンス集団として用いるが，一般的にシングルステップ法は，マルチステップ法のようにリファレンス集団を考慮しない．そこで，本研究の目的は，シングルステップ法の一種であるSingle-Step SNP-BLUP法にリファレンス集団を考慮する方法を提案することである．【方法】分析は，ホルスタイン雌牛762,650頭の初産時の決定得点（体型審査形質）を用いた．リファレンス集団として，5,352頭の娘牛記録を持つ種雄牛のみ，37,197頭の記録を持つ経産牛のみおよびそれら両方の3種類を定義した．なお，SNP情報を持つ若雄牛3,973頭および未経産牛88,058頭が分析に含まれた．Single-Step SNP-BLUP法にリファレンス集団を考慮すると非対称線形方程式となるため，反復解法として前処理付き双共役勾配安定化法を用いた．【結果】リファレンス集団を考慮しない場合と考慮した場合でゲノミック評価値を比較すると，記録を持たない若雄牛や未経産牛は評価値の序列に大きな影響を与えなかった．しかしながら，リファレンス集団を考慮することで，若雄牛および未経産牛の評価値の過大推定を軽減することが示唆された．また，経産牛のみをリファレンス集団とした場合，遺伝的趨勢が過小推定される可能性が示された．