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[II-16-19] 骨形成不全症が疑われる新生子牛におけるⅠ型コラーゲンをコードするCOL1A1遺伝子及びCOL1A2遺伝子の変異の検出
骨形成不全症は、全身の骨脆弱性を特徴に易骨折性、骨変形、呼吸器不全等の症状を示し、ヒトでは約2~3万人に1人が発症するとされている先天性疾患であるが、ウシの症例報告は極めて少なく、原因遺伝子の同定も進んでいない。三重県で確認された骨形成不全症と疑われるホルスタイン種の新生子牛について、ヒトの骨形成不全症の主な原因遺伝子であるCOL1A1遺伝子及びCOL1A2遺伝子について調査を行った結果、COL1A1遺伝子エキソン18でアミノ酸置換を伴う一塩基置換変異がヘテロ型で検出された。この変異は母牛及び父牛で確認出来ないことからデノボ変異と考えられる。このミスセンス変異によって、コラーゲン分子のヘリカル領域と呼ばれる繰り返し配列の391番目のアミノ酸が、グリシンからグルタミン酸へ置換することが推測される。ヒトの骨形成不全症ではヘリカル領域内のグリシンの置換を原因とする症例が数多く報告されている。コラーゲン分子のトリプルヘリックス構造の形成に必須であるため、哺乳類のヘリカル領域のアミノ酸配列は高度に保存されている。ヒトではアミノ酸は異なるが同一部位における置換を原因とする症例、及び部位は異なるが同一アミノ酸置換を原因とする症例が報告されている。骨形成不全症は常染色体顕性遺伝とされているため、今回ヘテロ型で検出された変異が新生子牛で疑われた骨形成不全症の原因である可能性は非常に高いと考えられる。