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[III-16-10] 老齢繁殖雌牛の個体老化に関する特性解析
【目的】和牛の増頭には、繁殖雌牛の繁殖期間の長期化が重要であるが老化による受胎率、生産率の低下が課題である。老化による繁殖性の低下は、ヒトを含め哺乳動物で共通して起こる。ウシは、個体寿命が長く内分泌的変化や卵胞の選抜過程など老化に伴う生理機能がヒトと類似することから実験動物の老化モデルに代わるモデルとして活用できる可能性がある。本研究ではウシ老化モデルの構築を目的とし、老齢雌牛個体由来の様々な細胞を用いて老化に関する特性解析を行った。【方法】若齢(30ヶ月齢)および老齢(200ヶ月齢以上)黒毛和種雌牛個体から、卵巣・子宮内膜・顆粒膜細胞を樹立した。また安定的な不死化細胞株は、変異型CDK4とサイクリンD1遺伝子をレンチウイルスベクターで導入することにより樹立した。老化レベルは、活性酸素種(ROS)量、やクロマチンのエピゲノム変化、細胞老化関連分泌形質(SASP)および内在性レトロウイルスの遺伝子発現量を調べた。【結果】老齢個体由来細胞は、ROS量、SASPおよび内在性レトロウイルスの遺伝子発現量、H3K4me2が亢進していた。この違いは、樹立した不死化細胞でも同様であった。これらの結果から、牛の個体老化は他の動物でも起こる代謝やエピジェネティックな変化が起こっていることが明らかとなった。現在、ウシの老化を抑制することができる様々なアプローチを検討している。