10:50 AM - 11:00 AM
[III-16-12] 母子同品種または異品種の乳用牛および肉用牛における胎盤の形態的特徴の比較
【目的】ウシ胎盤は妊娠期間を通じて発達し,胎子の成長を支える.近年,乳用牛への黒毛和種精液授精や受精卵移植により,肉用子牛を生産しているが,その場合の胎盤の特徴は明らかになっていない.そこで,母子同品種または異品種の乳用牛および肉用牛の胎盤の形態的特徴を調査した.【方法】供試牛は,母子品種がホルスタイン種8頭(HOL),ホルスタイン種×黒毛和種3頭(HOL×JB),黒毛和種6頭(JB),日本短角種5頭(JS)を用いた.胎盤の形態調査のため,分娩後の排出胎盤から総重量,絨毛膜重量,胎子胎盤数・重量・表面積を測定した.【結果】子牛の出生時体重は,HOL43.4kg,HOL×JB39.4kg,JB34.3kg,JS42.4kgで,HOLがJBより重い傾向があった.胎子胎盤重量はHOLがJBより重い傾向,表面積はHOLがHOL×JBより大きい傾向があり,かつJBより大きかったが(P<0.05),他の項目は品種間に差がなかった.個々の胎子胎盤重量や表面積の分布は,品種間で異なり(P<0.001),HOL×JBは,HOLやJSより軽く(P<0.05),他の3品種より小さい(P<0.01)胎盤が多かった.よって,ホルスタイン種に黒毛和種の受精卵を移植させた場合,他の母子同品種に比べて小型の胎子胎盤数が増加したことから,母子異品種では胎盤の発達が阻害される可能性が示された.