4:30 PM - 4:40 PM
[III-16-30] 短鎖脂肪酸の添加がルーメン内重要デンプン分解菌の増殖に及ぼす影響
【目的】濃厚飼料を長期にわたり多給する黒毛和種肥育牛の安定的なルーメン発酵維持において、デンプン分解菌は重要な役割を担う。当研究室では黒毛和種ルーメン内の重要デンプン分解菌としてRuminococcus bromiiに近縁な細菌群(Ruminococcus属C1グループ)を特定し、本グループに属するRuminococcus sp. YAB-127株を分離している。本菌株は精製ルーメン液を培地に添加すると増殖が改善するが、その機序は不明である。本研究では、ルーメン液中に含まれる短鎖脂肪酸がRuminococcus属C1グループの増殖に及ぼす影響を検討した。【方法】Ruminococcus sp. YAB-127株およびヒト腸管由来R. bromii基準株ATCC27255を供試菌株とした。ルーメン液を含まない合成培地に短鎖脂肪酸を添加し、供試菌株の増殖を測定した。【結果】R. bromii基準株では短鎖脂肪酸添加による増殖改善は見られなかった。一方、YAB-127株は酢酸、イソ吉草酸および吉草酸の添加により増殖改善が見られた。特に酢酸添加でYAB-127株の顕著な増殖改善が認められ、その効果は添加濃度依存的に向上した。以上、本研究ではルーメン内重要デンプン分解菌Ruminococcus属C1グループの増殖には短鎖脂肪酸が関与し、酢酸が特に重要な増殖因子であることを明らかにした。