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[IV-16-08] 筋幹細胞分泌因子semaphorin3Aによる筋線維型制御機構: 速筋型筋線維の形成抑制機能について
【目的】我々は、筋幹細胞(衛星細胞)が合成・分泌する多機能性制御因子semaphorin3A(Sema3A)が遅筋型(Ⅰ型)筋線維の形成を誘導することを明らかにした(Tatsumiら, 2017)。同時に、Sema3Aによる速筋型(Ⅱ型)筋線維の形成抑制への関与も示唆された。本研究では、この抑制系を検証するため実験に最適な筋部位を選定した後、衛星細胞特異的にSema3Aをコンディショナルノックアウトしたマウス(Sema3A-cKO)を用いて、筋再生過程における筋線維型組成の変化を解析した。【方法】Sema3A-cKOおよび対照マウスの上腕二頭筋(BB筋)にカルディオトキシンを注入し筋損傷を誘導した。損傷から14日後および28日後にBB筋を採取し、ミオシン重鎖アイソフォームの多重蛍光免疫染色法(Sawanoら, 2016)により筋線維型組成を比較した 【結果および考察】損傷前の筋線維型組成の解析により、実験材料に最適な筋部位としてBB筋を選定した。本部位では、損傷14日後にⅡa型筋線維の割合がcKOマウスにおいて対照よりも有意に高く、Sema3AはⅡ型筋線維のうちⅡa型の形成抑制機能を有することが明らかになった。一方で、充分に筋機能が再生した損傷28日後では、組成の違いは殆ど認められず、Sema3AのⅡa型形成抑制機能は筋再生の中期頃まで優勢であると考えられた。