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[IV-16-19] 短鎖脂肪酸が乳腺の抗菌因子産生へ及ぼす影響
【背景・目的】乳腺における感染防御機構の1つに抗菌因子産生が挙げられる。短鎖脂肪酸は腸管における抗菌因子産生を調節することが知られているが、乳腺での効果は不明である。そこで、本研究では、泌乳期ヤギ乳房を用いて短鎖脂肪酸が抗菌因子産生に及ぼす影響を調べた。【方法】泌乳期トカラヤギの乳房内へ5 mM酢酸ナトリウムもしくは酪酸ナトリウムを5 mL注入し、その後、5日間乳汁を採取した。体細胞数、抗菌因子濃度およびサイトカイン濃度を測定した。【結果】乳量、乳中体細胞数および乳成分組成は、酢酸処理群と酪酸処理群ともに統計的な変化は確認されなかった。酢酸処理群では、処理4、5日後のβ-ディフェンシン-1濃度と処理5日後のS100A7濃度が処理前より有意に増加し、カテリシジン-2濃度も処理3日後以降増加していた。酪酸処理群では、処理3、4日後のβ-ディフェンシン-1濃度とS100A7濃度が処理前より有意に増加していた。また、酢酸処理群では乳中TNF-α濃度とIL-8濃度も増加していた一方で、酪酸処理群ではサイトカイン濃度には顕著な変化は確認されなかった。さらに、酢酸処理群における乳中体細胞の種類をギムザ染色により観察したところ、分葉核球の割合が増加していた。以上より、短鎖脂肪酸である酢酸と酪酸は乳腺での抗菌因子産生を増強することが判明した。