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[IV-16-31] 母豚のL-カルニチン合成能と繁殖成績との関係
【目的】L-カルニチンは生合成され、長鎖脂肪酸のβ-酸化によるエネルギー合成における律速因子である。泌乳エネルギー要求量が高まる哺育期母豚のエネルギー生産に対して経口給与が有効であることで2018年に繁殖雌豚の指定飼料添加物に認可された。給与理論は確立しているが、その効果発現と生合成能との因果関係は明らかではない。本調査は母豚の血中L-カルニチン濃度を指標として繁殖成績との関係を確認した。【方法】デュロック種初産雌豚11頭を供試した。初産分娩前に採血を行い、血中L-カルニチン濃度を測定し、平均値より高い個体7頭と低い4頭に区分した。繁殖成績は初産時と2産目の総産子数、生存産子数、生存率、生時総体重、生時平均体重、離乳頭数、離乳子豚総体重、離乳子豚平均体重、平均増体量とした。【結果および考察】初産時に総産子数、生存産子数、生存率、生時総体重、離乳頭数、離乳子豚総体重は血中L-カルニチン濃度が高い群で高くなり、生時総体重は有意(P<0.1)に高く、離乳頭数、離乳子豚総体重は高い傾向(0.1<P<0.15)にあった。2産目も同様の成績で、L-カルニチンの合成能が高い個体は良好な成績を示した。L-カルニチン合成がエネルギー合成に対して必要量を上回る個体では経口給与での補充はその必要性が低くなるが、多産形質が高まりエネルギー要求が高まる繁殖豚では経口補充が重要と推定された。