The 130th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演1(栄養・飼養、管理・環境)

Thu. Sep 15, 2022 9:00 AM - 10:45 AM Zoom会場1 (オンライン)

Chairperson: Naoto Ishikawa, Hajime Kumagai, Satoshi Koike, Yuhei Ozutsumi

10:30 AM - 10:45 AM

[IYS-07] マルチオミクス解析を用いた採卵鶏用飼育システムの多面的評価

*Nonoko Nozaki1, Itufumi Sato1, Tadahiro Matsubara1, Eiki Asagi1, Yuki Higashiura1, Chihiro Kase2, Atushi Nagano3,4, Shozo Tomonaga5, Tatsuhiko Goto6, Jun-ichi Shiraishi7, Kan Sato8, Tsuyoshi Shimmura1 (1. Tokyo Univ. of Agr. and Tech., 2. Azabu Univ., 3. Ryukoku Univ., 4. Keio Univ., 5. Kyoto Univ., 6. Obihiro Univ., 7. Nippon Vet. Life Sei. Univ., 8. Tohoku Univ.)

【目的】現在、アニマルウェルフェアに配慮した飼育システムが導入されつつあるが、鶏個体に与える影響の全体像は未だ不明である。本研究では、各種レベルの解析(フェノーム・トランスクリプトーム・メタボローム)により、飼育システムの違いが採卵鶏に及ぼす変化を明らかにすることを目的とした。【方法】ケージ・平飼い・放牧区に、採卵鶏を導入した。①行動観察・健康状態の測定を行った。②各飼育システム5羽ずつ、中枢組織(大脳・間脳)、末梢組織(肝臓・卵巣・卵管膨大部/子宮部)を採取し、計90サンプルのRNA-seqを行い、発現変動遺伝子についてパスウェイ解析を行った。③各飼育システム4羽ずつ採血を行い、血漿中代謝物質をCE-TOFMSおよびLC-TOFMSを用いて測定し、比較した。【結果】①行動観察の結果、平飼い区および放牧区で慰安行動など行動の多様性が増加し、この両区で福祉性が向上していたことが確認された。②福祉的な環境によって多臓器の遺伝子発現に変化が生じていた。また、パスウェイ解析により、癌化リスクのマーカーでもある代謝経路や遺伝子がケージ区で亢進していた。③ケージ区において、抗炎症・抗酸化作用を有する代謝物質が有意に変動していた。以上より、福祉性の違いによって生じる多臓器の遺伝子発現・代謝物プロファイルが明らかとなり、中枢組織の神経変性により抗炎症作用のある代謝物質が変動することが示唆された。