栄養・飼養Ⅰ

[II-20-12] メチルドナー･ビタミン複合添加物の給与が周産期乳牛の飼養成績、乳脂肪酸組成およびルーメン液性状に及ぼす影響

*Yoshihisa Ohtani¹, Kentaro Ikuta², Sho Ishikawa³, Eri Nagaoka¹, Kei Watanabe¹, Fuminori Terada¹ (1. Meiji Feed Co., LTD., 2. Hyogo Prefectural Technology Center for Agriculture, Forestry & Fisheries Livestock Technology Center, 3. Hyogo Prefectural Technology Center for Agriculture, Forestry & Fisheries Awaji Agricultural Technology Center)

【目的】周産期の乳牛におけるメチルドナー・ビタミン複合添加物(MCV)の給与について，生田らが肝臓への脂肪蓄積の抑制効果を報告した(令和５年度獣医学術近畿地区学会)．本研究では，MCVの給与が生産性や脂質代謝，ルーメン液性状に及ぼす影響を検討することとした．【方法】ホルスタイン種経産牛11頭を供試し，対照区(n=6)に対し試験区(n=5)には分娩予定3週前から分娩後3週までMCVを50g/日/頭を飼料に添加し給与した．乾物摂取量(DMI)，乳量，乳成分，乳脂肪酸組成，体重，ボディコンディションスコア(BCS)，ルーメン液性状および血液成分について分娩前3週から分娩後12週まで調査した．【結果】MCVの給与によって，試験区において分娩後1週の乳蛋白質率が高くなる傾向が認められ，対照区に対して乳中P/F比が有意に上昇し，Preformed脂肪酸割合が低下する傾向が認められた．DMI，BCS，体重，乳量等の飼養成績については両区間に差は見られなかった．また，血中遊離脂肪酸およびβヒドロキシ酪酸は試験区で有意に低下した．ルーメン液性状は，一時的な変化が見られたもののMCV給与による特定の効果は認められなかった．以上の結果から，周産期乳牛へのMCVの給与は，生産性に対する影響は明らかではなかったものの，脂質代謝およびエネルギーバランスの改善効果が認められた．