栄養・飼養Ⅱ

[III-20-27] 呼気ガス濃度比を用いたホルスタイン種育成期雌牛におけるメタン排出量の推定

*Itoko NONAKA¹, Tomoyuki Suzuki¹, Kouji Higuchi¹, Fuminori Terada¹ (1. NILGS/NARO)

【目的】育成前期牛におけるメタン(CH₄)排出量を乾物摂取量(DMI)や呼気中のCH₄/二酸化炭素(CO₂)比などから算出する式を、第130回大会で報告した。本報告では育成後期のデータを追加し、呼気ガス濃度比等を用いて育成期全体を通したメタン排出量算出式の作成を試みた。 【方法】開放式呼吸試験チャンバーを用いたホルスタイン種育成前期および後期雌牛のべ87例のエネルギー出納成績を用い、説明変数を体重(BW)、DMI、飼料成分、呼気ガス濃度比(CH₄/CO₂比)、環境温湿度(適温、高温) 、目的変数をCH₄、CH₄/DMI、メタン転換効率(MCF)として重回帰式を作成した。 【結果】(1)供試したデータの平均値は12.3ヶ月齢、BW 297kg、DMI 5.8kg/日/頭、CH₄ 198L/日/頭、CH₄/DMI 34.0L/kg、MCF 0.075、CH₄/CO₂比0.078であった。(2)育成牛からのCH₄およびCH₄/DMIは、BW、DMI、飼料中代謝エネルギー含量、CH₄/CO₂比の値から高い精度で推定できた(自由度調整済(Adj.)R² =0.98および0.86)。また、MCFはBW、DMI、CH₄/CO₂比(Adj.R²＝0.72)、飼料の中性デタージェント繊維含量を加えることにより、精度高く推定可能であった (Adj.R²＝0.79)。