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[IIIYS-19-02] 高密度SNPマーカーを用いた東南アジア諸島在来ヤギの遺伝構造と伝播、遺伝子流入の推定
【背景・目的】本研究では、高密度SNP解析を実施し、東南アジア諸島を中心とした旧大陸における在来ヤギの遺伝子構造、伝播経路、および遺伝子流入について考察した。【方法と結果】ヨーロッパ、アジア、アフリカの53集団、約5,000個体のSNPデータセットを作成し、主成分分析、STRUCTURE解析、migration解析を行った。その結果、K=2~5では旧大陸を東西に分類する遺伝要素、ヨーロッパ集団での特異的な遺伝要素、東南アジア集団での特異的な遺伝要素、南東アフリカの集団で特異的な遺伝要素が確認された。特に、アフリカ南東部の沿岸部に位置する国においてアジアの特異的な遺伝要素がみられた。フィリピン在来ヤギ集団ではアフリカの南東部地域、ヨーロッパ集団全体を遺伝要素とする遺伝的混在が認められた。一方、インドネシアでは他地域からの遺伝的混合がほとんど見られなかった。また、ヨーロッパやアフリカ集団からフィリピンへの遺伝子流入が確認されたが、ヨーロッパやアフリカの特定の国から東南アジア諸島への遺伝子流入は見られなかった。【考察】本研究の結果、1)ヨーロッパから海洋貿易によってアフリカ南東部に流入・遺伝的混合が起こり、その後東南アジア諸島に流入した、2)ヨーロッパ、アフリカ南東部それぞれからフィリピンへと流入し、フィリピンにおいて遺伝的混合が起こった、などの可能性が示唆された。