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[IIIYS-19-04] 宮崎県黒毛和種集団を用いたウシ7番染色体における脂肪交雑に対する原因多型の探索
【目的】牛脂肪交雑基準(BMS)は牛肉産業において重要な形質の一つである。これまでに我々は、ゲノムワイド関連解析及びその結果同定された候補多型のLDブロック解析により、宮崎県黒毛和種集団におけるBMSのQTL候補領域を7番染色体上の15.8-16.1Mbpと推定した。本研究では、その領域において更なる候補多型の抽出を行い、BMS原因多型の同定を試みた。【方法】宮崎県集団560頭からBMSの上位4個体、下位4個体を選択し、全ゲノムリシーケンス解析により候補領域内の全多型を検出した。そのうちannotation-impactがmoderate以上である13多型を候補多型として選出し、宮崎県集団529頭を対象に遺伝子型判定を行い、関連解析によってBMSに対する効果を調査した。【結果および考察】BMSに対し特に有意な効果を示した多型(p < 0.001)は5多型あり、いずれもICAMファミリー遺伝子に存在する多型であった。ICAMは、脂肪細胞への分化過程で特徴的な発現が見られることや、脂肪細胞分化を促進させるMAPK経路を活性化させることが報告されており、ICAMが脂肪交雑の原因遺伝子である可能性が示唆された。今後、本多型について他集団を用いた解析など更なる調査を行うことにより、BMSに対する原因遺伝子の同定につながることが期待される。